自分の可塑状態を知ること
8月中はショップの営業をお休みして
'製菓の学習塾'として活動しています。
毎日個人レッスンをしていると
授業をしながら私自身
あーそうだよな…
っと改めて気づかせていただくことも多々あり......
今日は
'油脂'の授業でした
'固形脂'の'可塑性'を話ししながら
あ、
ここでいうところの固形脂とは
バターという事にして考えるとわかりやすいです。
可塑性というのは
固形脂が温度によって形が変わる性質の事を指す。
つまりバターも冷蔵庫から出したてのバターが固くてそのまま置いておくと室温でやわらかくなっていく。って事です。
で、
このバターがやわらかくなっていく
状態には範囲があります。
つまり
冷蔵庫から出したては固くて扱えないけど
指で形が変えられるようになれば扱いやすくなります。
でもやわらかい状態は温度が上がっていけばどんどん進んで行って
そのうち溶け出していって最後は液体になります。
溶けたバターは形を作ろうとしても作れませんよね。
バターが柔らかく扱い易い状態その範囲を'可塑範囲'って言うんですけど
この可塑範囲の中でバターの扱いをスタートするとバターの持っている働きを
バター自身が遺憾なく発揮してくれてお菓子を美味しく仕上げてくれるわけです。
この可塑範囲って
バターの温度でいうと
だいたい13℃〜18℃
ちなみに
カチカチに固いバターの温度は10℃以下
溶ける温度は25℃
最近の夏の暑い気温だとバター直ぐ溶けちゃいます(笑)
温度だけで見てみると
バターの良い状態は13〜18℃の範囲ということになりますけれど
これって
作る人によって温度よりもどんな状態からスタートさせるかってことで
本当に人それぞれだと思うんですよね
理論を終えてカトルカールの授業をやっていると
実習をしながら
「せんせ、先生はバターがどのくらい柔らかくなったら砂糖を加えるわけ?」
「これだと柔らかくなりすぎなの?」
「わたしはこのくらい柔らかいくらいでやっちゃってるけどそれでいいの?」
「良いと思いますけど(笑)ちゃんとホイッパーにバターもひっかかっているし
空気含ませていますから」
でもその彼女は後日その状態を動画に撮りたいからもう一回
デモやってくださいっと(笑)
出来てたんだけどなぁ
まあ納得がいくまで同じことを繰り返すほど勉強にはなりますから。
どちらかというと私は固めからスタートするタイプ
彼女のスタートとは違っていたのだと思います。
冷たいバターに限りなく近い可塑の状態もあれば
溶ける手前ギリギリの可塑の状態もある
ということですよね。
たった5℃のスタートの違いでもバターの状態に違いが出るわけなので。
私はバターを扱うということを日常的にやっていて
自然に自分のやりやすい可塑状態が感覚的に身についているのだと思います(笑)
仕事ですものね。
授業をしていて気づくことってこういったことが結構あって
私自身は自然にやっていた事が生徒さんにとってはかなり難しいことで
それを知りたいのねぇ......と。
動画でもなんでもどんどん知りたい事は聞いていただいて大丈夫です!(笑)
そして
自分のお菓子ブランドを立ち上げようとしている方を含め
日々バターに向き合っている方に...
安定した'商品'を作るには
例えばバターに関していうと
'自分の良いと思う可塑状態を知る'ことも大事かと思います。
自分の可塑状態を確認してみることもお勧めします。
その話を近々工房立ち上げを控えているまた別の彼女に話したら
「.....う〜ん......やっぱり奥深いなぁ........」
そうそう
だからお菓子は愉しいんだよ(笑)