科学的膨張作用のコントロール
気に入って使っていたベーキングパウダーの製造終了を受けて
参ったな......。
っとなったお話は以前にいたしました。
対応策
でも、参ってばかりいられないですし
主力商品でもあるスコーンをまず、なんとかしなければと
対応策を考えていたのですが
その1 レシピ自体を見直して新しいスコーンを開発する。
その2 今迄使っていたベーキングパウダーに近いものを他メーカーで探す。
とりあえず思いついたのがこの2つ。
でも
その1はすぐに却下。
なぜかと言うと、私自身もこのスコーンの配合が好きだし、
それ以上にボンボンさんのスコーンが好き。
と言ってくださるお客様がいらっしゃる以上、
大幅な変更はありえないという.....。
そして、その2
始め有力だったのはこちらで、
じゃあ、今迄の配合はどんな感じだったのか確認しないとと
表示をチェックしてみると....
【原材料名】
酸性ピロリン酸ナトリウム 35.0%
炭酸水素ナトリウム 31.0%
第一リン酸カルシウム 9.0%
食品素材(コーンスターチ)25.0%
ほーこんな感じだったのか.....
ちなみにもう1つ持っていた違うメーカーの配合はというと
【原材料名】
食品素材(コーンスターチ)44.5%
第一リン酸カルシウム 31.5%
炭酸水素ナトリウム 24.0%
配合...違いますねぇ
下の方は約半分近くがコーンスターチだったんですね。
私は、こちらのベーキングパウダーは一度だけ使ってなんか違うと感じました。
で、
最初は上の配合に近いベーキングパウダーを探そうと考えた訳です。
ネットで検索すれば出でくるかなと.......。
そしたら
調べる過程でベーキングパウダー自分で作ってるひとが結構いる事を知り
あーそうね。自分で配合とった方が早いわ。たしかに(笑)
独特の'苦み' はどこから
私がどうして先ほど明記した配合のベーキングパウダーを気に入って今迄使っていたかと言うと
単純に食べた時の独特の'苦み'をあまり感じ無い気がしたからなんですね。
ただこれって人の味覚は本当にそれぞれなのであくまでも
「私が」
になってしまうのですけれど。
この、'苦み'ってどこからくるかというと
ベーキングパウダーの元である重曹(アルカリ性の性質)からなんですけど
それを緩和するために酸性剤を加えて中和させるわけなんです。
だから
'酸'って付いてるのが配合されてます。
アルカリ+酸=中性
↓
苦みの緩和
私が目指すベーキングパウダーはこの苦みの緩和です。
でも食感も大事ですけど。
ベーキングパウダーを作ってみる
とりあえず気に入ってる配合な訳ですからこれをベースに考えます
【原材料名】
酸性ピロリン酸ナトリウム 35.0%
炭酸水素ナトリウム 31.0%
第一リン酸カルシウム 9.0%
食品素材(コーンスターチ)25.0%
この材料だと
炭酸水素ナトリウムは重曹。コーンスターチはそのままで、
酸とカルシウムをどうするかですが
酸は自分でベーキングパウダーを作ってらっしゃる方々にならって
クエン酸で。酸がかなり強いけど、だいじょぶかな。
次はカルシウム。代用出来そうなものはと言うと
カルシウムと言えば牛乳、牛乳の粉末状のものと言えばスキムミルク。
こんな発想から(笑)
【ベーキングパウダー】
クエン酸 35.0%
重曹 31.0%
スキムミルク 9.0%
食品素材(コーンスターチ)25.0%
この%をそのままgにすればいいだけですね。
出来上がったベーキングパウダー。
で、
いつも通りにスコーンを焼成。
使った結果
生地状態などは全く変わりませんでした。
浮き上がりの感じも違和感無く。
さて、
食感、お味の方はというと
テーマである'苦み'
これ、全く大丈夫でした。
自分でもびっくりですがほぼほぼ今迄と変わらない焼き上がり
気になっていたクエン酸の強い酸味は全く感じないという訳ではありませんが
気になるほどではなくサワークリーム配合してる?ぐらい?(笑)
スコーンだけでなく、今後はこのベーキングパウダーを使って他のお菓子も作ることに
なります。
製造終了の事実を知ったときはどうしようかと思いましたが
より細かく材料を把握出来たわけだし、かえっていろいろ収穫がありました。
逆に考えると重曹からのアルカリ性の反応はクエン酸を使うくらい強いものなのだということですね。
そうじゃないと中性にならない。そんな勉強までできた(笑)
お菓子における
膨らむ、つまり膨張作用は
3種類くらいあるんですけど
そのうちの1つ
「科学的膨張作用」
加熱によって科学分解反応を起こしてガスを発生させて生地を膨らませる作用
ただ、膨らませるだけではなくてそれに伴っていろいろな反応が起こります。
それをどうコントロールするのかもお菓子作りの醍醐味かもしれませんね。